光文社文庫 12月の新刊

(2023年12月12日発売/一部地域をのぞく)

今月の新刊はコチラ

  • コロナと潜水服
    奥田英朗
    定価:770円(税込み)

    ちょっぴり切なく、ほんのり笑えて、最後はやさしい
    人生が愛おしくなる“ささやかな奇跡”の物語5編
    奥田英朗のマジックアワー

    早期退職を拒み、工場の警備員へと異動させられた家電メーカーの中高年社員たち。そこにはなぜかボクシング用品が揃っていた――。(「ファイトクラブ」)
    五歳の息子には、コロナウイルスを感知する能力があるらしい。我が子を信じ、奇妙な自主隔離生活を始めるパパの身に起こる顛末とは?(表題作)ほか “ささやかな奇跡”に、人生が愛おしくなる全5編を収録。

    奥田英朗(おくだ・ひでお)

    1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、’97年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞を受賞。’04年『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞。’07年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞を受賞。’09年『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞を受賞。他の作品に『コメンテーター』『リバー』『罪の轍』『我が家のヒミツ』『沈黙の町で』『ナオミとカナコ』『噂の女』『サウスバウンド』『無理』『ガール』などがある。

  • 特急「こく土佐とさ 時代トキの夜明けのものがたり」での殺人
    西村京太郎
    定価:748円(税込み)

    陰陽道の達人、元首相夫人――
    連続殺人の引き金となった歴史の罠とは?
    十津川警部が「愛国」の闇に迫る!

    高知を走る観光特急の列車内で、陰陽道の流れを汲む人物が毒殺された。さらに二日後には、元首相夫人が別荘で絞殺される! 十津川警部は、二人が「非愛国的な」出版や表現活動の阻止を目的とする団体の理事であったことを摑む。
    一方、雑誌記者の三杉は、太平洋戦争末期、祖父が命を落とした特攻作戦の謎を追っていた――。歴史の闇に迫る長編ミステリー!

    西村京太郎(にしむら・きょうたろう)

    1930年東京都生まれ。都立電機工業学校卒業後、人事院に勤務。’63年『歪んだ朝』で第2回オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。’65年『天使の傷痕』で第11回江戸川乱歩賞を受賞。’78年にはトラベル・ミステリーブームの先駆けとなる『寝台特急殺人事件』を発表、ベストセラーに。2005年第8回日本ミステリー大賞を受賞。十津川警部シリーズなどトラベル・ミステリーから社会派推理まで幅広く活躍、著作は640冊を超える。’22年3月、肝臓癌のため死去。

  • ワンさぶ子の怠惰な冒険
    宮下奈都
    定価:792円(税込み)

    北海道トムラウシの山村留学から福井に帰ってきた宮下家。当時、子供たちの妄想犬だった白い柴犬ワンさぶ子が実際に家族の一員となった。三人の子供たちは、大学生、高校生、中学生となり、それぞれが自分の道を歩き始めていく。広がる世界、かけがえのない音楽とともに自由を楽しむ宮下家五人と一匹の、笑いと涙溢れる感動と成長の三年間の記録を描いた作品が待望の文庫化。
    「一年後」を描いた小説宝石掲載エッセイに「その後」を描いた宮下奈都氏のあとがきも収録! 「読書メーター OF THE YEAR 2021」エッセイノンフィクションランキング第1位となった作品。

    宮下奈都(みやした・なつ)

    1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年「静かな雨」が「文學界」新人賞佳作となり、デビュー。「2016年本屋大賞」を『羊と鋼の森』で受賞。

  • 猫に引かれて善光寺
    新津きよみ
    定価:770円(税込み)

    目撃者は猫?
    謎解き好きの夫婦が消えた殺人犯を追う!
    『ただいまつもとの事件簿』に続く好評長野ミステリー第2弾!

    松本に移住して半年の清水真紀は、長野に住む片瀬敏子から猫のニシンを預かることになった。敏子が入院している間の、期間限定の里親だ。ニシンは敏子の友人・宮田文枝の猫だったが、文枝が何者かに殺されたことから敏子が引き取ったのだという。ニシンと暮らし始めた真紀は、夫の忠彦とともに、その殺人事件の謎に挑むことに――。好評長野ミステリー第二弾!

    新津きよみ(にいつ・きよみ)

    長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行代理店勤務などを経て、1988年に作家デビュー。女性ならではの視点で描く巧妙な心理サスペンスや、日常に根ざした質の高いホラーに定評があり、短編も数多く発表している。著書に『彼女たちの事情 決定版』『ただいまつもとの事件簿』『二年半待て』(2018徳間文庫大賞受賞作)『始まりはジ・エンド』『夫が邪魔』『セカンドライフ』『妻の罪状』『なまえは語る』などがある。

  • 三十年後の俺
    (『比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども』改題)
    藤崎 翔
    定価:770円(税込み)

    「三十年後のお前だ」――庭から侵入してきたおじさんはいきなり高校生の原川光に告げた。タイムマシンで未来からやってきたのだ、と。そう見れば、どことなく自分に似ている。これから起こることを次々明かしていくこの人物はいったい?(「三十年後の俺」)。ほか、イロモノ候補かと思われたサタン橋爪率いる「悪魔党」がみるみるうちに支持され、やがて世界を「悪魔運動」で席巻する「比例区は『悪魔』と書くのだ、人間ども」、心霊写真の信ぴょう性が薄れ、幽霊を怖がらなくなった現代人を再び恐怖させようと幽霊歴75年・柳田勇が悪戦苦闘する「心霊昨今」など。あの手この手で読み手の笑いを誘い、喜怒哀楽の渦に巻き込むシュールな短編&ショートショート全12編。元お笑い芸人の著者の素顔を明かす、書店員芸人カモシダせぶん氏の「解説」も必見!

    【目次】
    (日本今ばなし)金の斧 銀の斧
    (ショートショート)貴様
    一気にドーン
    (ショートショート)マッチングサイト
    伝説のピッチャー
    (ショートショート)シンデレラ・アップデート
    心霊昨今
    (ショートショート)未来の芸能界
    比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども
    (ショートショート)宇宙人用官能小説
    三十年後の俺
    (ショートショート)AI作

    藤崎 翔(ふじさき・しょう)

    1985年、茨城県生まれ。高校卒業後、6年間お笑い芸人として活動した後、2014年『神様の裏の顔』で第34回横溝正史ミステリ大賞受賞。著書に『逆転美人』『逆転泥棒』『お隣さんが殺し屋さん』『モノマネ芸人、死体を埋める』『指名手配作家』『守護霊刑事』ほか、テレビドラマ化された『おしい刑事』シリーズなど。なお、2020年、コロナ禍で経営危機にあったお笑いライブ劇場「新宿バティオス」を救うべく命名権を290万円で購入し、「新宿バティオスwith年収並みの命名権を買っちゃったから小説が売れないと困る藤崎翔」と名付ける。

  • 接点 特任警部
    (『接点:特任密行捜査』改題)
    南 英男
    定価:880円(税込み)

    立ち食いイタリアンのチェーン店を経営していた会社社長が自宅で何者かに撲殺された。被害者は過去に強姦未遂事件など多くの問題を起こしていた。難航する捜査に、捜査一課長の笠原正人警視正は〝はぐれ捜査〟で鳴る敏腕捜査官・時任卓也に捜査を命じた。相棒は元刑事の私立探偵と美形の犯罪ジャーナリスト。人気のチェーン店経営者の裏の顔を調べていくと、衝撃の真相が浮かび上がった。特任警部シリーズ、二か月連続刊行第一弾!

    南 英男(みなみ・ひでお)

    1944年、東京都生まれ。明治大学卒業後、雑誌編集者を経て青春ハードボイルド小説などを執筆して人気を博す。’85年『街に棲む野獣』以降、ハードサスペンスに取り組む。ベストセラーになった「強請屋稼業」シリーズ、「毒蜜」シリーズ、「姉御刑事」シリーズなど全著作合計が2300万部を突破した。

  • はい、総務部クリニック課です。
    あなたの個性と女性と母性
    藤山素心
    定価:792円(税込み)

    大人気のお仕事小説、待望の第四弾が登場です!
    クリニック課に、女性相談窓口が開設されることになりました!

    ライトク社員の芳賀さんが貧血を起こし、駅で倒れた。たまたま行き会った奏己が急病人救護活動を行い大事には至らなかったが、芳賀さんは健康診断でも貧血で引っかかっていたのだという。なぜ、治療に結びつかなかったのか? 貧血の原因が女性特有の理由で、いくらクリニック課の常連でも、医者とはいえ、社員でもある森先生には相談しにくかったらしい。女性が相談しやすい「女性相談窓口」の開設について、早速検討が始まった。
    人脈を駆使して探し出したのは、婦人科専門のフリーランスでスーパー看護師の宇野女さん。助産師の資格も持つという彼女が担当する相談枠は、あっという間に予約が埋まる人気になった。
    社員達の相談は、貧血、生理不順、更年期障害といった女性特有の悩みだけでなく、便秘などの、男性医師にはいまいち相談しにくい内容まで、多岐にわたっている。百戦錬磨の宇野女さんは、デキる看護師で、的確に内容をさばいていた。その格好よさに奏己が畏敬の念を抱いていると、宇野女さんは「女性」「母性」「個性」という「3つの性」という話をしてくれた--。
    こんな部署があったらいいのに、と1作目から大反響を頂いている本シリーズもついに4作目。ちょっと楽になるための、物語として読む実用書として、様々な困り事を解決していきます。

    藤山素心(ふじやま・もとみ)

    広島県出身。東京都在住。医師。2017年にホビージャパン主催のHJ文庫大賞(現:HJ小説大賞)で金賞を受賞。以後は「江戸川西口あやかしクリニック」シリーズ(光文社キャラクター文庫)、「おいしい診療所の魔法の処方箋」シリーズ(双葉文庫)、「はい、総務部クリニック課です。」シリーズ(光文社文庫)、『呪ワレ者』(マイクロマガジン社)など、一般小説から児童書まで幅広く執筆している。

  • 彩色江戸切絵図
    松本清張プレミアム・ミステリー
    松本清張
    定価:858円(税込み)

    日本橋の穀物問屋「大黒屋」には、一年ほど前から留五郎という男が出入りするようになった。大黒屋の女房に云い寄る気配もあるが、主の常右衛門はこの男に対して煮え切らない。ついに手を出してきたため、女房は知り合いのところに身を隠すに至った。暫くして、空き地で留五郎が死体で見つかる。(「大黒屋」)
    絡んだ人間関係と強欲がまねくのは、謎めいた事件。江戸市井に生きる人々の人間模様を描いた時代傑作短編集。

    解説:山前 譲

    松本清張(まつもと・せいちょう)

    1909年北九州市生まれ。様々な職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。‘58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去。

  • ひょうたん 新装版
    お針子おとせ吉原春秋
    宇江佐真理
    定価:836円(税込み)

    茶碗、根付け、刀、簪、招き猫、徳利……
    古道具屋・鳳来堂に集まるものたちが浮かび上がらせる江戸人情譚、傑作連作集!

    エッセイ:朝倉かすみ

    本所五間堀にある鳳来堂は、親から継いだこの店を一度は潰しそうになった音松と、将来を誓ったはずの手代に捨てられたお鈴が、縁あって所帯を持ち、立て直した古道具屋。店番の合間に、店の外に出した七厘でお鈴が作る料理は、道行く人の腹の虫を鳴かせ、音松の友人たちを招き寄せる。そして、数奇ないきさつで集まって来る“訳あり”の品物たちは江戸町人の喜怒哀楽を浮かび上がらせ――。『甘露梅』に続く、人情ものの名手・宇江佐真理の時代連作集、新装版第二弾! 朝倉かすみ氏の書下ろしエッセイ「わたしの北極星」を初収録。

    宇江佐真理(うえざ・まり)

    1949年函館生まれ。函館大谷女子短期大学(現・函館大谷短期大学)卒業。’95年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。’15年逝去。著書に『甘露梅 お針子おとせ吉原春秋』『夜鳴きめし屋』『彼岸花』『うめ婆行状記』、「髪結い伊三次捕物余話」「泣きの銀次」「古手屋喜十為 事覚え」シリーズなど。

  • 華の櫛
    はたご雪月花(六)
    有馬美季子
    定価:748円(税込み)

    江戸の隅田川沿いにある旅籠〈雪月花〉のあるせせらぎ通り周辺で異変が続発した。食中り、大八車の事故に異臭騒ぎに、ついには死者まで出てしまう。女将の里緒は懇意の南町奉行所定町廻り同心の山川隼人や親代わりの盛田屋寅之助に周辺の警戒を頼むが、そんな中、永代橋で騒ぎが起き、里緒と雪月花に危機が訪れ、両親が亡くなった本当の真相が明らかになる。美味と謎解きの爽快さが溢れる雪月花シリーズ、史上最高傑作の第六弾。「第10回日本歴史時代作家協会賞」文庫シリーズ賞受賞シリーズ!

    有馬美季子(ありま・みきこ)

    2016年、『縄のれん福寿』(祥伝社文庫)で時代小説デビュー。その後、料理屋を切り盛りする女三代がかしましくも事件を解決していく「はないちもんめ」シリーズも好評を博す。ほかの作品に吉原随一の花魁となった主人公が欲望と嫉妬が渦巻く世界で不可解な謎を艶やかに解き明かしていく『吉原花魁事件帖 青楼の華』(PHP文芸文庫)、『食いだおれ同心』(祥伝社文庫)、他のシリーズとして「冬花の出前草紙」がある。’21年、日本歴史時代作家協会賞、文庫書き下ろしシリーズ賞を「はないちもんめ」シリーズ、「はたご雪月花」シリーズで第10回日本歴史時代作家協会賞、文庫書き下ろしシリーズ賞を受賞した。

  • 百鬼夜行
    日暮左近事件帖
    藤井邦夫
    定価:748円(税込み)

    江戸の町に人斬りをする乱心者が出現。公事宿「巴屋」の主彦兵衛から話を聞いた出入物吟味人の日暮左近は、その乱心者が次々に人を斬るのを間近で目撃した。左近は、乱心者の背後に丹波忍びの影を嗅ぎ取る。そして、その丹波忍びは、人を操る術を使うことがわかってきた。次々に人を「鬼」とする「傀儡の術」を操る丹波忍びとの対決が迫る……。日暮左近は、その忍びに打ち勝つことができるのか。人気シリーズ、最後に涙が流れること必至のスリル満点な第十七弾!

    藤井邦夫(ふじい・くにお)

    1946年北海道生まれ。テレビドラマの脚本家、監督として活躍後、時代小説家としてデビューし、一躍人気作家となる。その巧みなストーリーには定評があり、多くの読者を魅了している。主なシリーズに、「日暮左近事件帖」「乾蔵人 隠密秘録」「評定所書役・柊左門 裏仕置」(以上、光文社文庫)、「日溜り勘兵衛極意帖」「知らぬが半兵衛手控え帖」「新・知らぬが半兵衛手控え帖」「柳橋の弥平次捕物噺」「結城半蔵事件始末」(以上、双葉文庫)、「秋山久蔵御用控」「養生所見廻り同心 神代新吾事件覚」(以上、文春文庫)、「江戸の御庭番」(角川文庫)、「大江戸閻魔帖」(講談社文庫)などがある。

  • 角なき蝸牛かたつむり
    其角忠臣蔵異聞
    小杉健治
    定価:770円(税込み)

    吉原で紀伊國屋文左衛門が毒を盛られ危うく死にかけるが、其角の機転で事なきを得る。寛永寺の根本中堂建立をめぐって、強引な商売をした文左衛門は、方々で恨みを買っていた。背後では、材木屋の豪商・奈良屋茂左衛門が暗躍しているとにらんだ其角は、探りを入れ始める。一方、徳川光圀の法要で江戸に来ていた近松門左衛門や坂田藤十郎らは、なぜか浅野家の家臣を紹介してくれと其角に頼み込んでくる……。シリーズ第四弾!

    小杉健治(こすぎ・けんじ)

    1947年東京生まれ。’83年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。’88年『絆』で日本推理作家協会賞、’90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。著書に『宿命 検事・沢木正夫』『父からの手紙』「新九郎外道剣」シリーズ、「人情同心 神鳴り源蔵」シリーズ、「般若同心と変化小僧」シリーズなどがある。