光文社文庫 1月の新刊

(2024年1月11日発売/一部地域をのぞく)

12月の新刊はこちら

  • 陰流苗木
    芋洗河岸(1)
    佐伯泰英
    定価:858円(税込み)

    3か月連続刊行 新シリーズ、第1弾
    職業なし、住むあてなし。しかしその侍、剣の達人。
    美濃を食いつめた浪人・小此木善次郎が、江戸に大旋風を巻き起こす!
    この読み応えが、佐伯泰英。

    神田明神下にある一口長屋に、妻子連れの侍が流れ着く。藩を食いつめ美濃を出てきた、その名は小此木善次郎。職業なし、金もなし、どこかとぼけたこの侍、じつは剣の達人と知れる。親切な住人や大家が揃う一口長屋に溶け込む一家だったが、長屋には隠された秘密があると知れ、善次郎はやがてその秘密の渦に巻き込まれていく――。3か月連続刊行、手に汗握る新シリーズ(全3巻)開幕!

    佐伯泰英(さえき・やすひで)

    1942年北九州市生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する。’99年初の時代小説「密命」シリーズを手始めに、次々と時代小説を発表。2024年1月、文庫書下ろし作品の刊行点数が300冊突破、累計部数7840万部突破の快挙を成し遂げる。大好評の「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」シリーズ(小社刊)の他、2019年に映画化された「居眠り磐音」、「酔いどれ小籐次」「新・酔いどれ小籐次」「空也十番勝負」「照降町四季」「柳橋の桜」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」「鎌倉河岸捕物控」などの各シリーズで幅広い読者層から支持を得ている。
    佐伯泰英ウェブサイト

  • ヘーゼルの密書
    上田早夕里
    定価:1078円(税込み)

    1939年、上海。激化する日中の対立関係。
    時代が新たな大戦へと向かう中、それでも戦争を回避すべく、日中和平工作にすべてをかけた人々がいた――

    解説:末國善己

    語学教師の倉地スミは、極秘裡の日中和平工作に通訳として参加していた。いったんは頓挫する和平の道だが、今井武夫陸軍大佐のもと、新たな交渉〈桐工作〉に乗り出してゆく。日中双方の謀略が渦巻く中、スミと仲間たちは想像を絶する困難なミッションに挑むのだが――
    歴史の巨大なうねりに命をかけ立ち向かう人々の姿に心震える傑作長編。

    上田早夕里(うえだ・さゆり)

    兵庫県出身。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。’10年に発表した『華竜の宮』が、「SFが読みたい! 2011年版」にてベストSF国内篇第1位に輝き、第32回日本SF大賞を受賞した。他のSF作品に『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『獣たちの海』『夢みる葦笛』(「SFが読みたい! 2017年版」ベストSF国内篇1位)などがある。SF以外のジャンルに、歴史小説の戦時上海三部作『破滅の王』(第159回直木賞候補)『ヘーゼルの密書』『上海灯蛾』(第12回日本歴史時代作家協会賞「作品賞」受賞)、室町時代ファンタジー「播磨国妖綺譚」シリーズ、『リラと戦禍の風』などの作品がある。
    公式サイト https://www.ueda222.com/

  • 動物警察24時
    新堂冬樹
    定価:814円(税込み)

    物言えぬ犬猫を虐待する者を、私たちが逮捕する!「ペット後進国」日本につきつけられた話題作、ついに文庫化!

    東京都に実験的に設置された動物保護を目的とする〈東京アニマルポリス〉通称TAP。動物看護士師からTAP職員に転身した北川璃々は、同僚たちや警察ともタッグを組み、さまざまな動物虐待事件へと切り込んでゆく――。有名タレントによる愛犬虐待疑惑、多頭飼育崩壊、高級ペットショップが抱える闇……次々と立ちはだかる問題に彼らはどう立ち向かうのか!?

    新堂冬樹(しんどう・ふゆき)

    1998年『血塗られた神話』で第7回メフィスト賞を受賞しデビュー。『無間地獄』『忘れ雪』『黒い太陽』『不倫純愛』など映像化・コミック化作品も多数。近著に『任侠ショコラティエ』『虹の橋からきた犬』『犬義なき闘い』『犯人は、あなたです』『絶対聖域』などがある。

  • あなたも人を殺すわよ
    『人生脚本』改題
    伴 一彦
    定価:836円(税込み)

    『パパはニュースキャスター』『君の瞳に恋してる!』など、数々の名ドラマの脚本を手がけてきた著者が放つ、戦慄のノンストップ・サスペンス!

    解説:樋口尚文

    9歳の息子を目の前の事故で喪った早紀。彼女は息子が亡くなった時間、夫の信夫が不倫関係にある部下と出張に行っていたことが、どうしても許せなかった。ある日、早紀のもとに信夫が列車の転落事故に巻き込まれたという連絡が入る。早紀は夫と共通の友人であるジャーナリストの篠山と遺体安置所を訪れ、遺体を夫のものと確認したが、後日、自分と苗字が同じだという女が現れ、「あんた、間違えたんだよ、うちの旦那を自分の旦那を」と指摘される。夫の死に疑問を抱く早紀。篠山は取材で、夫を惨殺した芳恵を刑務所に尋ねる。そこで芳恵が放ったひと言「あなたも人を殺すわよ」。学生の頃から早紀に思いを寄せ続けている篠山は、この言葉が耳を離れなくなった……。

    伴 一彦(ばん・かずひこ)

    1954年、福岡県生まれ。日本大学芸術学部卒。1981年ごろから脚本家としての活動を開始。テレビドラマを中心に多彩な作品を手がけ、『うちの子にかぎって…』『パパはニュースキャスター』『君の瞳に恋してる!』『シンデレラデート』『デカワンコ』など代表作多数。近著に『追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡』(PHP文芸文庫)がある。本作は、著者初の長編推理小説である。

  • 真犯人のかお
    前川 裕
    定価:792円(税込み)

    胸くそ悪いが面白い!
    ぞっとするのに目が離せない――鈴木涼美(解説より)

    教師夫婦が謎の失踪を遂げた「川口事件」。現場には大量の血痕が残されていたが死体は発見されていない。逮捕された被害者の実兄は容疑を否認、事件の翌年に無罪が確定する。疑念を抱いたジャーナリストの杉山康平は、人権派弁護士の妨害に悩まされながら取材を続けるが、関係者の多くが重要な部分で口を閉ざしてしまう。一体彼らは、何を隠しているのか? 後味の悪さがクセになる著者の真骨頂、フェイク・ドキュメントの傑作!

    前川 裕(まえかわ・ゆたか)

    1951年東京生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院 (比較文学比較文化専門課程)修了。 スタンフォード大学客員教授、法政大学国際文化学部教授などを経て、現在、法政大学名誉教授。『クリーピー」が第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビュー。『2013年版このミステリーがすごい!』では「新人賞ベストテン(茶木則雄・選)」で第1位となり、 ‘16年には映画化され話題となった。著書に『クリーピースクリーチ』『クリーピークリミナルズ』『アウトゼア』『クリーピーラバーズ』『クリーピーゲイズ』『白昼の絞殺魔』『ビザール学園』『ギニー・ファウル』『号泣』『完黙の女』などがある。

  • バイター
    五十嵐貴久
    定価:880円(税込み)

    ゾンビ史に新風を吹き込む傑作!
    絶体絶命の戦いが始まる――

    解説:吉田大助

    伊豆半島沖の大川豆島にゾンビが大量発生!? 政府によってバイター(=他の人間を咬む者)と名付けられたゾンビは血肉を求めて人を襲い、島内は凶暴なバイターで溢れた。そんな折、相澤総理大臣の娘・彩香が島に滞在していることが判明する。絶望的な状況のなか、自衛隊と警察の混成チーム「ブラッド・セブン」が結成された。彼らに課せられた密命は「彩香の救出」。7人の精鋭は死地から彩香を救出することができるのか!?

    五十嵐貴久(いがらし・たかひさ)

    1961年東京生まれ。 成蹊大学卒。出版社勤務を経て2001年『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞してデビュー。’07年 シャーロック・ホームズと賢者の石』で第30回日本シャーロック・ホームズ大賞受賞。警察小説、時代小説 青春小説、 家族小説など幅広い作風で映像化も多数。著書に「南青山骨董通り探偵社」シリーズ、『こちら弁天通りラッキーロード商店街』『SCS ストーカー犯罪対策室』『PIT 特殊心理捜査班・水無月玲』『奇跡を蒔くひと』『天保十四年のキャリーオーバー』『スカーレット・レター』『リベンジ』『交渉人・遠野麻衣子 ゼロ』『命の砦』『鋼の絆』『サイレントクライシス』など多数。

  • 盲点 特任警部
    『盲点:特任密行捜査』改題
    南 英男
    定価:880円(税込み)

    美人弁護士を殺したのは誰だ!
    事件背後に見えた非合法ビジネス“貶め屋”の影――

    東京都目黒区内の植林畑で伊吹美寿々弁護士の絞殺体が発見された。難航する捜査に捜査一課長の笠原正人警視正は特任捜査官の時任卓也に支援捜査を命じた。伊吹弁護士は事件直前まで冤罪と思われる窃盗事件の被告人の弁護をしていたという。疑わしい存在として捜査線上に挙がっていた三人にはアリバイがある。事件は予想外の展開を見せ、新たな犠牲者が。調べで見えてきた真相とは――。特任警部シリーズ、二か月連続刊行第二弾!

    南 英男(みなみ・ひでお)

    1944年、東京都生まれ。明治大学卒業後、雑誌編集者を経て青春ハードボイルド小説などを執筆して人気を博す。’85年『街に棲む野獣』以降、ハードサスペンスに取り組む。ベストセラーになった「強請屋稼業」シリーズ、「毒蜜」シリーズ、「姉御刑事」シリーズなど全著作合計が2300万部を突破した。

  • 花菱夫妻の退魔帖 三
    白川紺子
    定価:770円(税込み)

    続々重版! 『後宮の鳥』の著者による大人気シリーズ
    この島に秘密がある。

    鈴子と孝冬は花菱家の本邸のある淡路島へ、神事のためやって来た。淡路島は花菱家に憑りつく淡路の君がかつて流された場所である。二人は神事をこなす一方、地元の村人たちのお祓いの依頼を引き受けることに。村で祀る弁天像の裏ですすり泣く青年、百日紅の木の下で悲しげに歌う少女、不幸が続く旧家――。そして淡路の君について調べると、鈴子の出生にもつながる事実が隠されていた。連続重版! ファン待望の大人気シリーズ第三弾!

    白川紺子(しらかわ・こうこ)

    三重県出身。同志社大学文学部卒業。2011年に「サカナ日和」で第154回Cobalt短編小説新人賞に入選後、’12年「嘘つきな五月女王」でロマン大賞を受賞。同作を改題・改稿した『嘘つきなレディ~五月祭の求婚~』で ‘13年にデビュー。著書に『後宮の烏』シリーズ、『下鴨アンティーク』シリーズ、近著に『京都くれなゐ荘奇譚(二) 春に呪えば恋は逝く』がある。

  • 夜鳴きめし屋 新装版
    宇江佐真理
    定価:836円(税込み)

    胃袋を温めてくれる“夜鳴きめし屋”の人情譚が
    人の心まで温めてくれる――

    解説:東えりか(再録) エッセイ:山口恵以子

    本所五間堀の鳳来堂は、両親が営んでいた古道具屋を息子の長五郎が商売替えした居酒見世。夕方から朝方まで開けていることから“夜鳴きめし屋”と呼ばれ、母親譲りの腕前の料理と酒を目当てに、大店の二代目、職人、武士から夜鷹まで、さまざまな客が訪れる。ある日、常連客のひとりで、かつて恋仲だった芸者・みさ吉の八歳の息子が現れ――。料理と人の温もりが胸に沁みる江戸人情譚の傑作! 山口恵以子氏の巻末エッセイ「作家として、妻として、母として」を初収録。

    宇江佐真理(うえざ・まり)

    1949年函館生まれ。函館大谷女子短期大学(現・函館大谷短期大学)卒業。’95年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。’15年逝去。著書に『甘露梅 お針子おとせ吉原春秋』『夜鳴きめし屋』『彼岸花』『うめ婆行状記』、「髪結い伊三次捕物余話」「泣きの銀次」「古手屋喜十為 事覚え」シリーズなど。

  • 闇の剣
    部屋住み勘兵衛
    鈴木英治
    定価:880円(税込み)

    剣豪ミステリーの傑作シリーズ、新装版刊行スタート!
    古谷勘兵衛見参!

    解説:谷津矢車

    旗本の次男で部屋住みの古谷勘兵衛は、道場仲間と酒を飲んだ帰り、ものすごい遣い手の男に襲われる。四年前、十一人もの命と首を奪った猟奇的な辻斬り・闇風が再び蠢き始めたのか? 一方、古谷家の宗家筋である植田家では、養子に迎えた跡取りの春隆が突然の病で亡くなる。他の旗本でも半年間で若い跡取りや当主が五人も病死していた。さらに勘兵衛の周辺では怪事件が頻発し……。剣豪ミステリーの傑作シリーズが新装版で復活! 

    鈴木英治(すずき・えいじ)

    1960年、静岡県沼津市生まれ。明治大学経営学部卒業。’99年、第一回角川春樹小説賞特別賞を『駿府に吹く風』(『義元謀殺』に改題)で受賞。主な作品に「口入屋用心棒」「手習重兵衛」「徒目付久岡勘兵衛」「新兵衛捕物御用」「下っ引夏兵衛捕物控」「大江戸やっちゃ場伝」「無言剣殺」「突きの鬼一」などの人気シリーズがある。

  • ひとひらの夢
    日本橋牡丹堂 菓子ばなし(十二)
    中島久枝
    定価:704円(税込み)

    菓子に込めた少女の願い。小萩はその思いに応えられるのか?

    十歳の少女からの小萩への依頼は、母とともに紺屋を切り盛りする職人に贈る菓子だった。実父を亡くして七年、家族同然に過ごしてきた彼に、父親になってほしいと伝えたいのだという。だが、母には大店の主の後添いにとの縁談が。小萩は少女の願いを汲んだ菓子を届けるが、思いがけない騒動が起こり――。季節の菓子と人情に心温まる大好評シリーズ第十二巻。

    中島久枝 (なかしま・ひさえ)

    フードライターとして全国のおいしいお店や素敵な人々をたずね、歴史や文化とともに新聞や雑誌に紹介。著書に『和菓子 人と土地と歴史をたずねる』(柴田書店)ほか。2013年、『日乃出が走る一浜風屋菓子話』でポプラ社小説新人賞特別賞を受賞。シリーズは3巻まで刊行している。他の小説作品に「お宿如月庵へようこそ」シリーズ(ポプラ文庫)、「一膳めし屋丸九」シリーズ(ハルキ文庫)などがある。

  • ワンダフル・ライフ
    丸山正樹
    定価:858(税込み)

    読者メーターOF THE YEAR2021 第一位
    あなたは必ず、この本を
    もう一度読みたくなる。

    解説:桐野夏生

    事故による頸椎損傷で、寝たきりの「妻」(49)を介護している「わたし」(50)。設計士の一志(39)と編集者の摂(38)夫婦は妊活が実らず、特別養子縁組の話が。様々な悩みを抱える男女の「過去と未来」が照らし出したものとは――。『デフ・ヴォイス』シリーズなどで現代社会の歪みを描き続けてきた著者渾身の傑作長編。

    丸山正樹(まるやま・まさき)

    1961年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。2011年、松本清張賞に応募した『デフ・ヴォイス』で作家デビュー。同作はテレビドラマ化され話題に。著書に『漂う子』『刑事森 孤高の相貌』などがある。近著は『夫よ、死んでくれないか』。