【特集】C しおさい楽器店ストーリー 喜多嶋隆

No Music, No Life!

音楽なしじゃ生きていけない! 

そんな大人たちに贈る、待望のシリーズ第三弾。
好評発売中!



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『C しおさい楽器店ストーリー

喜多嶋隆著

春先のある日、しおさい楽器店にカスタネットを買いにきた地元の漁師の娘ナツキ。
事故で指先に後遺症が残る彼女は、得意の手釣り漁ができず、生活にも困っているらしい。
哲也のバンド仲間で開業医の息子シナボンは、彼女のためウクレレを使ったリハビリを考える。音楽が育んだ絆は、やがて温かい奇跡を生み出してゆく! 
湘南の潮風のように爽やかな大人の青春小説。
哲也と涼夏の恋のゆくえからも目が離せない、青春音楽小説第3楽章!



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著者の喜多嶋隆さんデザインの特製ギターピックとサイン本をセットで!
店長の名智理さんからは、素敵な感想文をいただきました。




小説というのは、今更言うことでもないがかなりの嗜好品なのだと思う。
基本的には読者個人個人で味わい方は全く違う。
一方、世の中の主流のニーズ(ブーム)はめまぐるしく変わっていく。
それに合わせた小説ならたくさん売れるだろうし、映画やアニメなんかにもなるだろう。
それはそれでエンターテインメントとしては面白いのかもしれないし、悪いことじゃない。
でも、そんな時代の流れの中で、スタイルを変えずに、歩みをとめずに、一途に作品を発表し続ける作家というのは、そう多くはない。
まして40年も…

喜多嶋隆の「しおさい楽器店ストーリー」も3作目。
哲也と涼夏、そして葉山の人々を中心に心の交流が描かれる。
今回もたくさんの音楽が物語の中を流れていた。
印象的だった3曲について。



【The Long and Winding Road】

言わずと知れたビートルズのアルバム「Let it be」に収められた1曲。
これが彼らの最後のアルバムということになっているが、実際は最後のスタジオワークとしての「Abbey Road」の前、69年にゲット・バック・セッションとして録音されたものを後にフィル・スペクターが編集したものだ。この際、彼によって重厚なオーケストレーションが追加されたが、本来はもっとスッキリとしたシンプルなロックアレンジだったらしい。
ポールがバンド内の不和や緊張関係から逃れスコットランドの農場で作ったという曲。
薄曇りの田園地帯の草原を流れる風のように、彼の瞳のような寂しげなメロディが染みてくる。

——目の前に伸びる曲がりくねった道
君の扉へ導いてよ

という祈りのような歌詞。
小説の中では、哲也と涼夏や、シナボン(品田)たちは人生の曲がりくねった道を歩き始めたばかりだ、と表現している。
歌詞では、「かつて訪れたことのある道、置き去りにされた場所、僕を待たせないで君の扉へ導いておくれ」となっている。
人生は前に進むばかりじゃない。ときに立ち止まったり、来た道を戻ったり、だれかが歩んだ道を辿っていくこともあるだろう。
でも、きっと誰もが分かっている。進むべき場所、帰るべき場所を。そんな事を感じた。



【For Once In My Life】

1965年に作られたこの曲は実に多くのシンガーたちが歌ってきた。
66年のトニー・ベネットはジャジーなアレンジで大人の余裕たっぷりに歌った。
小説では68年のスティーヴィー・ワンダー。
こちらはアップテンポなウキウキする彼らしいファンク。

——生まれて初めて巡り会ったんだ
僕を必要とする人に

そんな恋の訪れの喜びを素直に歌った曲。
哲也の幼なじみ、シナボンこと品田が『地物』の女の子ナツキとの恋を自覚するシーンで
流れていた。

「どんな人生が待っていようと、強くなれる気がする。」

品田は成功が約束された未来よりも、自分の本心からの愛に覚悟を決めていく。



【The Long Run】

イーグルスがホテル・カリフォルニアの次にリリースした同名のアルバムより。
前作が世界で1200万枚近いヒットを飛ばし、評価も高かった後で、このアルバム制作は
困難を極めたという。

——ぼくらなら耐えられる
僕らの愛がつよければ
ぼくらは恐れてる、でも震えてはいない
曲がってはいるけど、折れてはいない
長い道のりで君に伝えたいんだ
このながい道のりで

哲也と、アイドルから大人のミュージシャンとして再出発する唯、そして二人を見守るプロデューサーの麻田は「めざすゴールは、あの水平線より遠いんだ……」とつぶやく。

曲調は当時のバンド内の不和や緊張関係を感じさせず、むしろ明るい。ドン・ヘンリーのドライで哀愁のある声と、バンドの息の合ったコーラスが追い風のように心地よい。

人生そのもののように。

物語の心が揺さぶられる場面で流れる名曲の数々。
いつの間にか目線はページを離れて、無意識にメロディーを口ずさみながら思い出のページを捲っていたりする。ボクらは自分の人生と、物語や登場人物たちの生き方を音楽にのせて自然とクロスさせながら読んでいるのだろう。

喜多嶋隆は昔からそんなふうにメッセージを音楽や潮風に乗せて紡いできた。
その変わらないスタイルは、本作でも古びることなく、心地よく吹き抜けて、澱みなく流れていく。

10代で初めて喜多嶋隆を読んだ自分。
20代、社会人になりたてで、戸惑う日々の合間に読んでいた自分。
30代、人生の舵を大きく切り、そして嵐に打ちひしがれ漂っていた日々に読んでいた自分。
そしていま、40代、ようやく大きなシケを乗り切って、穏やかな海原へ漕ぎ出した新しい自分。

前作、『潮風キッチン』(KADOKAWA)に寄せた感想のときにも、喜多嶋隆を読むことは心の定点観測であり、その作品たちは人生の航路を照らす灯台だ、と書いた。

喜多嶋小説のスタイルがきっと今後も変わらないのと同じく、ボクのそんな読書体験も変わらないのだろう。若い人にこそぜひ読んでもらいたい、と書いたが、いつかそんな年の離れたファンと、どんな風にこの航海を楽しんでいるのか語り合ってみたい。

多くの喜多嶋隆ファンの人生航路が
嵐の時も凪の時も、その先が
希望に満ちたものでありますように。宜候。

追伸
旭屋のコロッケパン…嗚呼、腹が鳴る



刊行早々、素敵な感想がたくさん届いています!


シリーズ第3弾は「C」。
今回はこのコードが物語の大きなポイントとして織り込まれていた。
喜多嶋さんの作品には、いつも音楽が溢れている。
スタンダードから新しい音楽まで多く登場する。
そして、それらは人生のほろ苦さについて歌っていたり、
ミュージシャンそのものの人生が強い向かい風であったりする。

音楽は時に人の心だけでなく体を治癒する力を持っている。
そして、それを支えるのは人との強い絆。

守る人間と守られる人間。お互いが影響しあい成長していく。
哲也も涼夏も、その他の登場人物たちも…。

海を疾走する船や釣りの描写は流石のひとこと。
喜多嶋さんのずっと変わらない姿勢。
葉山のさわやかな風を感じる作品だった。
SAさん


人生で一番大切なものは? 幸せとは?
喜多嶋作品を読むと、いつも「人生の流儀」を考えます。

この『C しおさい楽器店ストーリー』の根底にあるのは、音楽の力です。
音楽は心はもちろん、体も癒し、再生する。
それと同時に、この物語からは小説の力を感じました。

涼夏が詩で自分をさらけ出す。
哲也と唯がショービズよりも「自分たちらしさ」を貫く。
シナボンが敷かれたレールよりも、本当に大切な道を選ぶ。

そんな登場人物たちのストーリーから、力を感じました。
「親ガチャ」とか「勝ち組」とかいうステレオタイプの言葉を吹っ飛ばす力。
幸せを人の基準に流されるのではなく、自分で決める力。
明日が見えない世の中で、自分らしく生きていく力……
です。

どうやら『しおさい楽器店ストーリー』にはまだまだ先がありそうです。
それぞれがこの先の道をどんなふうに歩いていくのか、次作が楽しみです。
佐伯 要さん


海の香りを感じながら、それぞれの登場人物達の行動を通して、人生を前向きに生きる勇気をくれる作品でした。
事故の後遺症から指先に障害が生じ、懸命にウクレレでリハビリに励むナツキ。
自分の全てをさらけ出し、詩を書いた凛。
発売曲のテンポに悩む唯。
父親の病院経営に疑問を持つシナボン。
自分の歩んでいる道で迷いが生じたとき、答えは自分の心に問いかけるしかない。そして、進むべき道を決めるときは、絶対ならぬ覚悟が新たな道を切り開く。
特に、作品の中に出てくる「腹をくくる」という言葉が、グッと心に突き刺さりました。
読み終わった後は、釣り、音楽、何か行動を起こしたくなる、そんな気にさせられました。原田亮一さん


「寂しい事だけど、大切な誰かを失いながらも、おれたちは歩いていかなきゃならないらしい…」
「これから先、泣きたい事なんて山ほどあると思う。でも、少しずつでも強くならなくちゃって気がするし…」

哲也の声が、心にしみる。
この作品は、音楽がないと生きていけない人たちの物語。
しおさい楽器店に集まる人たちは、実在する人物のようにリアリティがあり、鮮やかな実写の映画を観ているような感覚に引き込まれる。
「音楽がないと生きていけない」
「これを書かずにいられない」
という、喜多嶋隆の確かな信念と力強さを感じる一作。
「A7」「B」を読み返しながら、再度「C」を読みたくなる…爽やかなカクテルのように、心にしみる喜多嶋ワールドが楽しめる作品。
柴田知美さん


「読む」というよりは「参加している」感覚の喜多嶋ワールド
読書よりはお洒落して出かけることに夢中だった私が喜多嶋先生の本を偶然手に取った日から価値観は確実に変わっていった。 例えば・・素足の気持ち良さだったり、海辺で齧るコロッケパンの美味しさだったり、Tシャツとビーチサンダルが最高に心地良いアイテムだったりと、何より日々自然体で丁寧な生活を心がけるようになったのは喜多嶋作品のおかげ!

これほどまでに主人公に「なりきれる」小説はあっただろうか?
私にとっては「読む」というよりは「参加している」感覚の方が強い。
それはどの作品にも共通して感じていること。

今回の新刊である「C しおさい楽器店ストーリー」はシリーズ3作目。言うまでもなくしっかり「参加」させてもらった。是非1作目からの参加をオススメしたい!

サトユリさん


今回の作品においても、孤立感や挫折を感じている主人公たちに寄り添いつつも、ただ同情するだけではなく、自然に応援や手助けができる登場人物と同じように、一歩離れたところから見守る親戚のおじさんのような気持ちで読み終えました。

「……寂しい事だけど、大切な誰かを失いながらも、おれたちは歩いていかなきゃなら ないらしい……」 という言葉に触れ、人生は、何かを失うことでもあり、新たに出会うことでもあるけれど、自分がどう向き合うかが、生きていくということなのだと思います。大人になるということは、ただ歳を重ねることではなく、生きることに真っ向から向き合うということなのだと改めて感じました。

磯崎さん


この物語の空気感は、テンポ65なのかもしれない。物語の中は歩くようなスピードで、時が流れているのを感じた。
せわしなく生きている自分にとって、この物語の中にいるときは、浅く早い呼吸も、いつの間にか、穏やかになっているようだった。

作品中の『音楽をやらないと生きていけない人たち』の姿から、自分の中の『これ、なしでは生きられない』に目を向けてみた。
すると、ここのところ、それが封印されていたことに気づかされた。
『安定』『便利』『仕方ない』『だって』『世間が…』なんだか言い訳ばかりのような思いがよぎり、苦笑いしてしまった。
読後に、『本当はどんなふうに生きていたい?』と自分に問いかけてみた。今ある『安定のためにしがみついているもの』を手放し、『こうありたい』というイメージを、おもいっきり広げてみた。なんだか、解放された感覚がした。

主人公、哲也の成長による変化、またそれをとりまく人々の成長に憧れてしまう。登場人物から、本当の自分らしさに目を向けるきっかけをもらった作品。

時には、心のスピードのテンポを65にして、自分に言い訳しない人生をめざしてみようかな。

あじろふみこさん


最新のものが、常に最良だとは限らない。
旧式、アナログな手法であっても、時と場合によっては、最新に匹敵する効果が得られる。
効率と結果ばかりを求める現在において、そんなことを再認識させてくれる内容でした。

麻生Pはバラードは、じわじわとヒットチャートに上がってくる傾向にあることを見越していたからこそ、リリース当初はライバルに水を空けられても、あえてバラードで勝負に出た。
「責任は私が取る!」タイプだからこそできたのだと思います。
ここにも、すぐに結果ばかりを求める今の社会に対する問題提起があると感じました。

Mr.Tさん


Session
A7、Bから読み進んで行くと、昔の刑事ドラマのオープニングのように、キーマンが増えて、並んで歩いている。
たぶん、それじゃ伝わらないし、音楽小説なので、主人公の2人の演奏(ストーリー)に、少しずつ人が加わって、自然にSessionになってくる。
2人がメインの演奏から、新たに加わった人がメインになり、そして、また次に加わった人がメインの曲に変わって、いつの間にか2人の曲に戻っている。
そんなSessionの中で、一人一人の曲であるストーリーも、転調したり、アコースティックバージョンになったり、楽器なんか弾けなかった頃を思い出してアカペラで歌いだしたしたり、化学反応のように、すべての曲が成長して、大きくなっていく。
作者はきっと、このシリーズをきっと、音楽を作るように作り上げているんじゃないかな?
小さなSessionが少しずつ大きくなっているってことは、最後はFESのようなストーリーが待っていることを期待しています。

札幌市 Wataさん


SNSを見れば、リッチなホテルやレストランで豪華な食事をしたり、高級車や高額な服で着飾った人たちばかり。いわゆる成功者のマウント合戦。
この小説の登場人物たちは、そんな人たちとは真逆な、だけど清々しい生き方をしている。

軽快な文体でテンポよく読めるけど、その中のテーマは、人として何が大切かを訴えかけている。
「本気で何かに向かい合っている生き方」、自分にはできているだろうか?
三沢永樹さん


喜多嶋ワールドに登場する少女や女性達の飾らない魅力に、胸打たれるのは毎回のことなのだか、今作品は、男性陣のピュアな面がとても印象に残った。
主人公の哲也、自身の医者としての在り方を模索する青年、
業界での名声や地位を築きながらも、それに溺れることない音楽プロデューサー。
彼らが、宝石の原石のような少女達の美しさに、ちゃんと気がつけるのは、彼ら自身が純粋さを失くしていないからだと思う。
人生100年とも言われる現代では、どこに向かって生きていくのかを、しっかり見極める必要がある。その指針となるのが、ピュアな心だと、この作品を読んで強く感じた。
そして、海の香りと、ほんの少しユーモア漂うラストシーンに、心もお腹も満たされました!

熊谷美幸さん


「しおさい楽器店シリーズ」の3作目です。
シリーズで読まれると一層楽しめると思いますが、
この作品から入っても大丈夫だと思います。


世の中には「自分の物差し(価値観)」でしか物事をはかれない人がとても多い。
でも、この価値観というものは周りからの影響で見事なくらい変化するもので、
変化のきっかけが良い方だったら良いんだけど、逆だとちょっと(周りが)困る。
 
自分の中にしっかりと「価値観」を持っているのはとても大切なことだと思いますが、
それが絶対的なものと決めつけてしまうのはいろんな意味でとても残念。
今回のエピソードの主役である「シナボン」。
ナツキに出会ったことで価値観が変わったシナボン。
変わった、と言うより本来に戻った、のかな。
この二人はこのままHappy endになると良いな。

Y.Tさん




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葉山の海が見える楽器店。
店主の牧野哲也は十代でデビューして注目を浴びたギタリストだったが、活動を中断し充電中。
目が不自由な従妹の涼夏を引き取り、気ままな二人暮らしを送っている。
湘南の海風のように爽やかな青春音楽小説。


『A7 しおさい楽器店ストーリー


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『B しおさい楽器店ストーリー


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