第7回入選作公開&第8回テーマ発表!


第8回の応募要項はこちらから

第7回募集テーマ「ペット」入選作公開



「愛しい種」  恵誕 NEW

「それでもキミは僕の相棒」  松本エムザ


第7回募集テーマ「ペット」優秀作講評


「毛玉投資」 小狐裕介

謎のペット「毛玉」は、とても楽しい生き物でした。家の中のほこりや洋服から出てくる毛玉を餌にして育つ――なんとも嬉しい生き物ですよね。「掃除に役立つ」ということも考えれば、無理に宇宙人をからめなくてもよかったのではないでしょうか。毛玉ブリーダーとなった主人公と毛玉たちの関係や、毛玉たちが起こす事件などをメインに展開した方が、物語世界が拡がって、もっともっと面白い作品になったのではと思います。

「犬のユキ」 会社やめたろー

ずっと犬を飼いたくて、冬の間いつも雪で作っていた愛犬「ユキ」。実際に飼うことができるようになった犬にも主人公はユキと名付ける。それから時が経ち、亡くなったユキを偲んで雪で作った「ユキ」が生命を持ち始める場面が素敵でした。甦った(?)ユキとの再会~別れといった交流をもっと描きこんでいけば、より感動的な作品になったのではないでしょうか。

「鯉に餌をやるな」  キタハラ

落語の枕として設定されている一人語りの語り口が、実に愉快な作品でした。テンポがよくて随所に遊びがあって、なんてことのない話なのに読まされる。芸人の才能がありそうですね(笑)。語り手の高校時代のエピソードが意外な展開を見せて、そこも面白いのですが、結末が弱い印象がありました。この枕が、落語家が話し始める「噺」と結びつきがあるなど、構成に工夫があればよかったですね。ぜひ、このスタイルのものをもっと書いてみてください。

「渡辺さん」  かわらや源三

子供たちのペット自慢が思いもかけない展開になって……とても面白く読みました。主人公の家で飼っている「渡辺さん」の正体がぶっとんでいて、そこにとぼけた可笑しみもあって、結末の着地も決まっています。センスのある人ですね。ただ、全体的に粗い印象がぬぐえません。主人公の通う学校や同級生の描き方、彼らとのやり取りなど、細部にもう少し気を配ることで、展開に説得力が生まれ、ずっと読みやすくなると思います。たとえば、意地悪少年が主人公の家を訪れることを決めたときのセリフなど、もっと練ってほしかったと思います。

「テルミー・ベイビー」  山口波子

専門医がその人に最も合ったペットを診断して処方する「ペット科」という診療科目。本当にあってもよさそうで面白いですね。いろいろなケースを医者から聞いていくという話の進め方よりも、実際にペットを処方された人に何が起こったのかの顛末を具体的に展開するストーリーの方が、ショートショートとしては面白い作品になったのではないでしょうか。

「それでもキミは僕の相棒」  松本エムザ

主人公が愛犬のために引っ越してきた「ペット可」のマンション。実はそこは、普通のペットではなく「特殊なペット可」のマンションだった……。住人たちが飼っているペットたちがユニークで可愛くて、次々に飛び出してくるエピソードが楽しい。オチも予想できるものではありますが、しっかり決まっていました。著者は「平山夢明杯」でも最終選考に残った方。今回のタイトルも、平山さんのあの作品のもじりですね(笑)。

「夢が終わるとき」  坂入慎一

前回「司書になった日」で入選した著者。人間が地球外生物の侵略によりペットにされる、というのは、今回のテーマでは割と多かった作品ではあります。また、この作品はショートショートといっていいのかどうかと思いましたが面白く読みました。女主人公と主人公が憧れていた部活の女の先輩、同性に恋心的な思いを馳せる甘酸っぱい青春の記憶と異星人のペットに甘んじているという現実の対比や、現実を受け入れて慣れていく冷めた若者の視点、かなり捻くれた成長譚とも言えましょうか。筆力は有る方なのでぜひショートショートらしい作品でも挑んでいただきたい。

「拾いもの」  天堂朱雀

ツイてないことばかり起こったその夜、弱っていた子狐を助けたことで恩返しのようなラッキーが次々と舞い込んできた……という話は楽しいのですが。なぜ狐なのでしょうか? ラストに登場するボスも、なぜこれを選んだの?と突っ込みどころが多かったですね。それぞれ登場させるものたちの意味が、ラストに向かってうまく絡んでいけばよかったのではないかと思います。次回に期待します。

「飼育」  あんどー春

深夜も開いている(非人道的な)ペットショップでギャル風女子たちが子犬を選んでいる会話と思いきや、売っているのはどうも人間の子どもで、それを買う――話。近未来、子どもはこうやってショップで買うようになっていて、彼女たちもそれらのようです。ただ、もう少し丁寧に説明する箇所があっても良かったと思います。そうすると、ぐっと読み味が濃くなると思います。

「ペットを飼う」  恵誕

前回「めくる」で入選した著者。ペットを飼うといっても、こういう飼い方もあるのか!というアイデアが秀逸。独特な読み味で特に印象に残りました。表現にも光るところがありますし、上手い方だと思います。ただ、主人公が暴走していくきっかけとなる「元彼」が、うまくハマっていない印象がありました。

「河童の疑問」  伊丹秦ノ助

導入、そして台詞のタイミングが絶妙。まさに田舎の川辺のひと時の風景を切り取った作品で、ほのぼのと微笑ましい限り。これも読み味としていいのですが、少年の「河童を飼いたい」動機に、もうひとひねり工夫があれば読み手の満足度が上がるのにと思いました。

「ひまわり」  梨子田歩未

応募作全体の中でも、かなり変わったペットが出てきます。見た目は赤ちゃんそっくりなひまわり。主人公のトラウマは、ズボラだった少年時代に、その奇異なるそのペットをうまく育てられなかったこと。このひまわり赤ちゃんが大ヒットしたものの回収破棄されることになるのですが、その動機が弱い。ここにもうひとアイデアあればラストに向けての説得力が増すのでは。



その他、印象に残った作品は――

「ユートピア」(サタケの本棚)/政府が経済政策として「イヌノミクス・ネコノミクス」というペット産業成長戦略を打ち出すという設定は面白い。ネーミングも分かりやすくてイメージもわきやすいです。ただ、このワンアイデアにとどまってしまって、物語としての展開がないのが残念ですね。

「サイコーのペット」(海見みみみ)/こちらも子供たちのペット自慢から始まるストーリー。そのやり取りが微笑ましくて、あっけらかんとした面白さがありますが、ショートショートというよりは絵本の原作になりそうな話ですね。

「鬼を飼っている」(梅野あつみ)/「私は鬼を飼っている」という最初の一文に続く出だしの一節が楽しい。また、実際に飼っている鬼が図体ばかりでかくてとことん気が小さいのもいいですね。ただ、話が尻すぼみになってしまって、もったいない。



今回の入選作に選ばれたのは――

松本エムザさんの「それでもキミは僕の相棒」恵誕さんの「ペットを飼う」です。おめでとうございます!ただ、掲載までに手を入れていただきたいところもあり、この後、編集部よりご連絡を差し上げます。掲載は次週以降となります。




第8回募集

第8回の応募は終了しました。次回の募集をお楽しみに!



募集詳細

文字数
400字以上6000字以内

テーマ
「鍵」
必ずしも、作中で「鍵」という言葉を使う必要はありません。テーマはモチーフとしてお考えください。

締 切
2019年8月2日(金)23:59:59まで(これ以降もテーマを変えて、随時、募集いたします)

応募規定
未発表の日本語作品に限ります。必ず以下の「応募フォーム」からお送りください。他作品からの盗用やアイデアの模倣は厳禁です。判明した場合には、入選発表後でも入選取り消しとなります。なお、審査、審査過程に関するお問い合わせには一切応じられません。

選 考
光文社文庫編集部

入選発表
入選作は本サイトにて発表して掲載。採用作には図書券3000円分を進呈します。※将来は書籍化も予定。
入選作の著作権は本人に帰属します。受賞作の複製権(出版権含む)、公衆送信権、および映像化、コミック化、舞台化等の二次的利用の権利は光文社に帰属します。


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