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第17回「絵」テーマの入選4作品



「色付く白黒」     
 佐倉彼方


「トリックレディ」   
 望月滋斗


「カエル先生」     
 進見達生


「遠くなる思い出」(「絵を見て思い出す」改題)  
 坂入慎一


第17回「絵」テーマ 優秀作の講評


進見達生  「カエル先生」

「カエル先生」というのは娘の幼稚園の先生のあだ名。ある日その先生のもとを訪ねてきた母親のセリフだけで進行する話ですが、だんだんと不穏な状況が見えてくる——。サスペンスとしてうまくできています。とても面白く読みました。

雲染ゆう  「駄作」

ラストで「あれ?」と思って、タイトルを見て、そしてもう一度読み直して「なるほど」と切ない恋の行方に苦笑い。ショートショートの楽しみを味わえる作品でした。

坂入慎一  「絵を見て思い出す」

亡くなった母親の遺品を整理していて見つけたのは、自分が幼い頃の絵日記。それを捲って読んでいるうちに——。記憶の断片がすり替わり、時空が変わり、最終的な着地点は……とびっくりな展開。さすが常連入選者というべき一篇ですね。

紗々木順子  「エノキニダケ」

タイトル含めてアイデアを、うまく形にした作品です。オチも効いていて、なかなか洒落た読み味でした。

日下雪  「美術館ツアー」

ガイドスタッフの説明とともに一人の画家の作品と一生を追ううちに、気づけば妙な世界観に取り込まれてしまいます。合間に時折入る参加者のセリフがうまく利いていて、面白く読みました。

安藤和秋  「落札した絵」

大金持ちの男性がオークションで競り落とした、無名の画家が描いた女の絵――。今回のテーマで似たような話は何話かありましたが、小気味良く読めたのはこの作品でした。ネタとしてはありがちだったかとは思いますが、さすがの手練れです。

村木志乃介  「キャンペーン」

彼女が欲しい独身男性の元に、一年間のお試しでと最新モデルのお手伝いロボットがやってきた——。無料で使用できるのに、欲が出てオプションの沼にハマっていく様子は誰もが苦笑いでしょう。そして最後のどんでん返し。お見事です。

中村蒐  「報い絵」

絵画に描かれた人物が抜け出して——という怪奇譚をミステリー仕立てにした一編。ドラマテックに描き切ったところはよく頑張られたかと。ラストが少しわかりづらいところが残念でしょうか。

齊藤想  「古絵」

短い話の中に、お互いに相反する思惑を持った登場人物たちの場面が、それぞれやや硬質な文章で描かれますが、うまくまとめられていると思いました。

はしぐちむべこ  「平面ネズミ」

絵の中を縦横無尽に駆け巡り、描かれたパンや果物を齧るネズミ。語り口も巧みで愉しく読みましたが、最後の展開はもう一ひねりほしいところでしょうか。

見坂卓郎  「真実の顔」

街で描いてもらった似顔絵は美化されて描かれていたが、気が付いたらその絵とそっくりな顔になっていた。自信を持った主人公は憧れの人にアプローチするのだが……。同じ着想は他にもありましたが展開がうまい。ラストは予想とは違っていて裏切られましたが(笑)

先本樹香  「サムシング」

兄が結婚して家を出ることになり、実家に残された子供時代のあれこれを一緒に整理することになった弟。二人が幼稚園の頃に描いたと思われる絵が二枚、さらになぜか使われていないまっさらなピンクのクレヨンが出てきて――。温かい読後感が残る作品でしたが、一人称視点と三人称視点が混在していて、そこは整理が必要と思われました。

佐倉彼方  「色付く白黒」

「黒の魔術師」と呼ばれるモノクロの絵しか描かない画家は白と黒しか感知できない人物だった。様々な色のイメージを聞くことで彩色に挑戦していくのだが……。かなりハードルの高いことに挑戦している作品。表現の端々にもセンスの良さを感じさせます。仕上がった絵の描写がほしいとも思いましたが、そこは選者で意見が分かれました。

望月滋斗  「トリックレディー」

トリックアートから抜け出した美女との出会い。絵から人が抜けだしてくるというアイディアはとても多かったですが、この作品はトリックアートというところがミソ。とても面白く読みました。ラストへの伏線がほしいのと、バーのマスターがどういう存在なのかなど、少し加筆が必要でしょうか。

望月滋斗  「水紋画」

水に落ちた物が作る波紋が描く絵という発想はいいですが、水紋画ができる条件が特にないところが引っ掛かります。誰でも描けることにするよりは、そこになにか決め事があった方がよいのではないでしょうか。

以下、優秀作には選ばれませんでしたが、それぞれに光るところがあり印象に残った作品です。みなさんにも、今後もさらに面白い新作を期待しています。

世並理穂  「片思いの肖像」/今回のテーマには美術室と部員の話もたくさんありましたが、LGBTをさらりと入れ込んだ甘酸っぱい青春の一コマを描いて、印象に残った一編です。登場人物が生き生きと描かれていたのも好印象でした。

相浦准一  「だまし絵」/だまし絵に込められた呪詛というアイデアが活きている話。ラストのオチもいいのですが、チラリと見ただけの絵でその呪詛の内容が読み取れてしまうのはちょっと安易な気がしました。そこはもうひとひねり考えられるかも。

社川荘太郎  「上昇と下降と欄干に足を掛ける」/突然、絵の中に入ることができる能力が発動した僕。そこから抜け出る方法を考えるうちに——。荒唐無稽な話ながら「僕」の成長譚でもあるところがなかなか考えられていて、うまくまとめていると思います。

毒島愛倫  「色のない街」/色のない「貧困層」の世界に住む絵を描くのがうまい少年が、初めて色のある世界を覗いた時——。この後、悲劇で突然終わってしまうのですが、ラストまでにもう少しドラマが欲しいところかなと思いました。設定含めてまだまだ考えて欲しいです。

進見達生  「代償」/ミステリー仕立てで面白く読み進められますが、ラストの謎解きの章が強引かなと思いました。話し手がその想像に行きついた切っ掛け(自身の経験とか)がないと、読者がその考えにうなずけないです。例えば、実は話し手の奥さんが「桜子」だったりすれば……。

進見達生  「ゆきおんな」/温度によって色が変わる示温インクという発想が楽しいのですが、その設定がわかりにくいので、物語にもう一つ説得力が生まれないように感じました。

秋谷りんこ  「指で、そっと。」/昭和初期あたりの設定なのか、雰囲気が出せていたかと思います。いわくのある水墨画を男が手に入れたい動機がもっと明確だといいなと思うのと、ラストに出てくる店主の女房が必要かどうかなど気になるところはありますが。

白井修  「築室道謀」/コンテストに出す絵を描き上げると、複数の教師たちから次々と勝手な注文を付けられた少年は――。ありそうな皮肉な展開が愉快。ラストは予想通りでなので、一ひねりほしいところです。

及川盛男  「この絵をノベライズさせてください」/画家のもとに絵を小説化させてほしいという青年が訪れる。絵と散文の本質的な違いなどのやり取りが興味深い作品でした。

柳沢高志  「男が振り向く時」/一晩中ろうそくの炎を消さないように見張るだけの高額バイト。そこには男の後ろ姿が描かれた「つまらない絵」があって……。設定はそそるのですが、火が消えてしまってからが尻すぼみで残念です。

月山枝葉  「月下美人図」/真後ろを向いた女性の姿が描かれた掛け軸。その女性の顔が次第に振り向くように動き始めて――。もっとスリルを感じさせる展開にした方がよかったのではないでしょうか。

麻生怜  「龍の絵」/絵にだけは自信があった主人公が美大の同級生の絵に衝撃を受けて……。天才が描いた絵についての描写が巧みで凄みを感じさせます。筆力を感じさせる書き手ですが、物語としての構成をもっと考えてほしいところです。

朝倉亜空  「心の目が描いた絵」/盲目の女性画家が描く絵は真実を描き出すという話。この着想であれば、もっと大胆な物語を紡いでほしいと思いました。

向井みの  「不出来な手のスケッチ」/歳を重ねてから画家になることを目指した男。しかし、どうしても「手」のスケッチがまく描けず、やがて大量に書き溜めた「手」が……。この物語にはハッピーエンドがふさわしいのではないでしょうか。

こみやかずお  「修復された男」/有名画家の絵にもともとはあったが塗りつぶされていた人物がいることがわかって……。発想は面白いのですが、読者への情報の提示の順序や物語の語り手など、展開の方法を再考してみてはいかがでしょうか?

戸叶曜  「妻の絵」/妻が毎日描き続けて公募展に出した絵。まだ見たことのないその絵は特別賞を獲ったというのだが……。不思議な感触を残すラストですが、ショートショートとしては、よりパンチの利いたアイディアがほしいところです。

泉瑛美子  「モナリザ走れ」/モナリザの血を引いていると言い出した不思議系の女性社員。語り口に個性的な魅力がありますが、話の構造が未整理な印象があります。

桜田弥生  「絵ントロピー」/描いた絵の中のものが、時を経るにしたがい変化する「生き絵」を描く方法を会得した主人公。植物であれば枯れて朽ち、食べ物であれば腐敗していき、生物であれば成長または老いていく。発想は面白いのですが、対象を絞るなりして物語をここから展開してほしいところです。

青山梓  「或る画家の追想」/娘の画才を見抜き、それを育てることに尽力した父親と娘の独特な関係性を力強い文体で描いた作品。読ませますがショートショートとしては物語をもっと動かしてほしいところです。

及川盛男  「もえる絵空事」/アニメやコミックの萌えキャラと一国の首相の婚姻という独創的なアイディアですが、展開でももっとぶっ飛んだ方がよかったのではないでしょうか。





第19回「ゲーム」テーマ

募集詳細

文字数
400字以上6000字以内

テーマ
「ゲーム」
 ※「ゲーム」という言葉を作中で使う必要はありません。あくまでもモチーフとしてお考えください。

締 切
2022年6月末日いっぱい(これ以降もテーマを変えて、随時、募集いたします)

応募規定
未発表の日本語作品に限ります。必ず以下の「応募フォーム」からお送りください。他作品からの盗用やアイデアの模倣は厳禁です。判明した場合には、入選発表後でも入選取り消しとなります。なお、審査、審査過程に関するお問い合わせには一切応じられません。

選 考
光文社文庫編集部

入選発表
入選作は本サイトにて発表して掲載。採用作には図書券3000円分を進呈します。※将来は書籍化も予定。
入選作の著作権は本人に帰属します。受賞作の複製権(出版権含む)、公衆送信権、および映像化、コミック化、舞台化等の二次的利用の権利は光文社に帰属します。


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